スモールスタートでニーズを探る
組織に属さず自由な働き方を選び、「ひとり株式会社」をおすすめしていると、たびたび起業についての相談を受けることがあります。
僕自身、会社にいた頃は背中を押してくれる人がいなかったので、自分が相談されると「独立したほうが絶対にいいよ!」と猛烈プッシュしたくなるのですが、「ちょっと待った方がいいかも?」と思う人も中にはいます。
それは、いきなり借金してビジネスを始めようとする人。
僕の場合、組織を辞めたくて起業したので、借金なんて考えたこともなかったのですが、何か自信のある商品やサービスを思いついた人は早々にそれを実現したいのか、いきなりでかいことをしようとします。
「初期投資のために大きな借金をする」なんて話を聞くと、「その起業、ちょっと待った!」と言いたくなります。
そこはまず、「スモールスタート」が鉄板でしょう。
一か八かの勝負に出るのではなく、自分のキャリアの延長上でできる、受託型などで確実にキャッシュを得られる仕事からはじめて、そこで自分のビジネスに対する確信を得てからでも遅くないと思うんです。
これをオススメするのは、安定したキャッシュフローを得てからという目的もありますが、顧客に触れて本当のニーズや評価を知るという意味でも、スモールスタートが望ましいように思います。
ベンチャーキャピタルなどから出資してもらったり、銀行から資金を借り入れたりしたりと、最初から風呂敷を広げるというのは、確かにかっこよく見えるかもしれませんが、打率はかなり低いですよ。
実際、今成功している企業って、最初はコンサルや受託などtoBのスモールスタートではじめているところがほとんどなんじゃないでしょうか。
自分の価値の最大化はアジャイルで
実際、僕も起業したときに、になんとなく受託で受けた仕事を通じて、顧客から「こんなことができれば」という相談を受けて自分の事業の柱を決めました。
もし起業当初になにか大きな事業を起こそうと、資金を投入していたら、身動きが取れなくなっていたと思います。
僕自身は起業して2年半になりますが、それまでに顧客からのフィードバックを受け、自分が提供するサービスの“売り”を何度も変えました。
もちろんドメインは「Webマーケティング」なのですが、例えば顧客分析と広告改善ではどちらがニーズが高いのかというように、その時々に応じて検証しながらどんどん得意分野、訴求分野を変えています。
その結果、1年目、2年目、3年目と、年数が経つにつれて、仕事の質も量もあがり、そして売上も各段に上がりました。
いわば、顧客からのフィードバックを受けて、アジャイルでサービスを変えるイメージです。
そのスタイルがベストだと感じるのは、やっぱり自分自身が、Webマーケティングをやってきたからだと思います。
でも、この「小さくPDCAを回して、改善しながら価値を最大化していく」という手法は、どんなものにでも応用が効くことを実感しています。
ここ最近は、Webマーケティングのコンサルの仕事以外にも、スタートアップや事業を立ち直らせたい、などど経営全般のアドバイスを求められることもあります。
そこでも常に「改善と検証」を忘れないようにと強く伝えています。
意外なことに、何かをプランニングして実行することに対して意欲があるのに「振り返って評価して改善する」ということはやりたがらない人って多いんですよね。
もっと軽やかに変化させた方が、価値を最大化するのに、ずっと近道なのになあと思います。
初期投資をどーんと投入して、一気に立ち上げるよりも、小さくスモールスタートの方が断然理にかなってます。
博打性の高い“男気あるベンチャー”はもう非合理的。
軽やかでスマートなスタートアップで始めることをおすすめします。