従来型の社会構造に囚われた人たち

僕にとっての“イヤなやつ”とは

誰にでも「イヤなやつ」っていますよね。馬が合わないというか、なんかいけ好かないやつ。「上野さんにも嫌いな人っているんですか?」って聞かれた時に、ぱぱっと浮かんだいくつかの顔。それぞれすごく嫌な思い出と紐付いていて、どこが嫌いかと聞かれれば、いろいろあげられるんですが…。

でも、個人攻撃もどうかと思うので、自分にとっての“イヤなやつ”がどんな人なんだろうと分析してみると、「保身に走る人」「人の努力の結果を自分の手柄にする人」「自分の目先の利益しか考えない人」「人がやろうとしていることを邪魔する人」など、だいたい共通しています。一言で言えば、「保守的で利己的な人」でしょうか。

その多くはたいてい組織に属していて社歴が長い人が特徴です。自分の今の既得権を守ろうとしている人ということでしょう。一般的な日本企業の組織構造の中では、新しいことに挑戦するのはあまりにリスキーです。よく減点主義といいますが、新しいことをやって失敗するより、何もしないで今までどおりのことをやっている方が、断然評価が高いのです。コツコツと積み上げてきた今の自分のポジション、このまま順当にいけば将来得られる利益を失ってしまうくらいなら…と考えるのも仕方がないのかもしれません。

 

僕も “イヤなやつ”になっていたかも?

実は、僕自身も会社を辞める直前は「何かやって目立つより、粛々と言われたことをやっていよう」と思ったことがありました。周りも自分も気づかぬうちにかかっているのが怖いところです。するとどうなるかといえば、言われたとおりのことを日々粛々とやるしかない。その仕事がどんな価値を生み出すのか、どうすればもっと良くなるのか、そんなことは考えません。考えない無気力な方が楽なのです。

でも、そんなふうに手足を引っ込めたまま過ごているうちに、いつの間にか慣れて、何も考えなくなっていく人もいると思います。逆に上手く立ち回って、自分の周りを新しいことや楽しいことができる環境にできる人もいると思います。僕はどちらもできませんでした。結果、会社を辞めたわけですが、それまで全く気づいていなかった自分の仕事の価値が、会社の外にでてこたとで初めて気づくことになります。そう、僕自身がいつの間にか漫然と仕事をしていた。大嫌いな“イヤなやつ”になるところだったわけです。

 

「一人株式会社」なら“イヤなやつ”にならなくていい

僕が推奨している「一人株式会社」であれば、組織や上司の顔色も伺う必要がありません。新しい挑戦も自分の判断でできるし、クライアントさんには迷惑をかけないようフォローは必要ですが、失敗しても責任を負うのは自分。そもそも初めから失敗しようなんて思っていませんから、クライアントに対して最適と思われる提案が出せます。時々、クライアント側に“イヤなやつ”がいることもありますが、ちゃんと成果を出せば納得してもらえますし、そのまま付き合うのも、お別れするのも自分の判断次第です。

たとえクライアント側の担当者が“イヤなやつ”でも、クライアントの先にいるユーザーを見ていればいいわけで。考えてみれば、いつの間にか慣れて漫然と仕事をしている人たちも「一人株式会社」で、失敗の責任を負うのが自分だけという環境なら、もしかしたら違っていたかもしれません。